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共愛学園小学校7年間の集客戦略【前編】|「広告を出すだけで集まる」時代は終わった

「広告を出せば、見込み客は集まる」――かつてWeb広告にはそんな時代がありました。

しかし、市場が成熟し、競合が増え、ユーザーの選択肢が広がった今、その公式はほとんど通用しなくなっています。同じ商品・同じターゲット・同じ媒体で出しても、3年前と同じ成果は出ない。これは多くの業種で起きている共通課題です。

弊社が共愛学園小学校(群馬県前橋市)の生徒募集を支援してきた7年間は、まさにこの変化を象徴するプロジェクトでした。2018年・2023~2024年・2025年と3期にわたる広告運用で、コンバージョン(CV)は累計719件。 ただし、その内側で起きていたのは「広告を継続した」という単純な話ではなく、市場環境の変化に合わせて戦略そのものを3度作り直したという話です。

前編となる本記事では、3期それぞれで弊社が何を判断し、どう動いたかを時系列で振り返ります。後編では、そこから導き出される「成果が頭打ちになった時に見直すべき5つの判断軸」を整理してお伝えします。


群馬県内の私立小学校市場、当時の前提

共愛学園小学校が開校した2017年前後、群馬県内の私立小学校市場には独特の構造がありました。

イマージョン教育や私立小学校として先行していた学校は、群馬県東部(東毛地区)にありました。中毛エリア(前橋市)や西毛エリア(高崎市等)の保護者にとっては、通学距離のハードルが高く、現実的な選択肢になりづらい状況だったのです。

加えて、群馬県内では「私立小学校は富裕層が通うもの」という概念が根強く残っていました。費用面でのハードル感もさることながら、「公立小学校以外にも選択肢がある」ということ自体を知らない・意識していない保護者層が多数を占めていたのです。

つまり共愛学園小学校が直面していた初期課題は、競合との差別化以前に、「私立という選択肢があることを、どう理解してもらうか」というところからのスタートでした。


第1期(2018年6~8月):認知拡大フェーズ

最初の運用は、開校初年度の生徒募集を支援するための学校説明会集客が目的でした。

  • 運用媒体:Google/Yahoo(リスティング広告)
  • 獲得CV:6月52件、7月28件、8月22件、計102件
  • CV内訳:申込予約・資料請求・お問い合わせ

ターゲットは群馬県内の保護者層に絞り、年齢・居住エリア・検索キーワードを精査して配信条件を最適化。「私立小学校という選択肢があること」を知ってもらうことに広告の役割を集中させました。

特筆すべきは、リスティング広告の打ち方として特別に高度な仕掛けをしたわけではない、ということです。中毛・西毛エリアでは実質的に競合が不在に近い状態だったため、潜在的なニーズを持つ保護者層に対して、広告が比較的スムーズに届く環境がありました。

月別の獲得件数を見ると、6月→7月→8月で右肩下がりに見えますが、これは説明会日程との連動と、夏休み期間という季節要因が重なった結果です。保護者の検討タイミングは「年明け~春」「夏前」にピークがあることが、この時点で経験値として蓄積されました。

この時期の弊社の役割は、シンプルに「潜在ニーズと学校を、最短距離でつなぐ」ことに尽きていました。


第2期(2023年12月~2024年4月):訴求強化フェーズ

第1期から約5年のブランクを経て、再びご相談いただいたのが第2期です。

  • 運用媒体:Google/Yahoo(リスティング広告)
  • 獲得CV:12月13件、1月106件、2月55件、3月68件、4月72件、計314件
  • CV内訳:申込予約・資料請求・お問い合わせ

第1期との最大の違いは、学校側の状況が変わっていたことです。卒業生も輩出し、地域での評判も少しずつ積み上がっていました。一方で、群馬県内の私立小学校市場にも変化が起きており、保護者の選択肢は徐々に増え始めていました。

そこで弊社が取った方針は、「保護者の検索行動・関心に合わせて訴求を組み立てる」ことでした。第1期のように「私立小学校という選択肢を知らせる」だけでは、検索する保護者がすでに複数の学校を比較検討している前提でクリックしてくるため、刺さりません。広告文・検索キーワード・配信エリアを細かく調整し、見込み度の高いユーザーに絞ってアプローチを強化しました。

第2期では、訴求設計の精度を上げ、配信ボリュームも確保するために、第1期よりも予算を増やして運用しました。

結果、5ヶ月で314件のCVを獲得。1月の106件という突出した数字は、年明け以降の保護者の検討タイミングと配信強化が噛み合った結果でした。

注目すべきは獲得効率です。第1期と比べて、CV1件あたりにかかった広告費は半分以下まで改善しました。「広告を出すだけ」から「保護者の意図に合わせて広告を組む」へ。第2期は、その移行期でした。


第3期(2025年6~8月):媒体切替フェーズ

そして直近の第3期。ここで弊社は、それまでとは大きく異なる判断を下します。

  • 運用媒体:Google/Instagram(リスティング+SNS広告)
  • 獲得CV:6月125件、7月99件、8月79件、計303件
  • CV内訳:申込予約・資料請求・お問い合わせ

Yahoo広告については、配信状況を見て成果獲得が限定的と判断し、撤退しました。代わりに投入したのが、Instagram広告です。

判断の根拠はシンプルでした。共愛学園小学校のターゲットである親世代(20代~40代)は、検索エンジンよりもInstagramでの情報接触時間が長い。検索広告では「能動的に探している層」にしか届きませんが、Instagram広告であれば「まだ顕在化していないが関心はある層」にもアプローチできます。

加えて第3期では、広告バナーについても複数パターンを制作・運用し、ABテストを実施。クリエイティブごとの反応やユーザー行動を継続的に分析しながら、効果の高い訴求やデザインへ改善を重ねていきました。スマートフォン経由でInstagramを見た保護者が、スムーズにアクションへ進める導線も意識して設計しています。

結果、第2期よりも運用予算を抑えながら、303件のCVを獲得。CV1件あたりにかかった広告費は、第1期のおよそ3分の1まで改善しました。第1期と比べると、予算を抑えながらCV件数は約3倍。同じ学校・同じ「学校説明会への集客」という目的で、ここまで差が出ています。


3期7年で見えた、運用数字の変遷

整理すると、こうなります。

時期主な媒体CV件数獲得効率
第1期(2018年)Google/Yahoo102件基準
第2期(2023〜2024年)Google/Yahoo314件約2倍に改善
第3期(2025年)Google/Instagram303件約3倍に改善
※「獲得効率」は、CV1件あたりにかかった広告費の改善度合いを第1期を基準に示したものです。

数字だけ見れば「右肩上がりに改善した」という綺麗な物語です。しかしその裏側には、3期ごとに市場環境を読み直し、媒体・訴求・クリエイティブの組み立てをすべて作り直してきたという意思決定の積み重ねがあります。

「同じ広告を続けていれば成果が出続ける」ことは、現代のWeb広告ではまずありません。市場が変われば、勝ち筋も変わる。これは教育機関に限らず、運輸・施設建設・小売・飲食――すべての業種に共通する原則です。


後編:成果が頭打ちになった時、見直すべき5つの判断軸

ここまでは「弊社がどう動いたか」という事実の振り返りでした。

後編では、この7年間の経験から導き出された「成果が頭打ちになった時、私たちは何を見直すか」という方法論を、5つの判断軸として整理してお伝えします。

  • 市場環境のフェーズをどう見極めるか
  • 媒体選定の本質はどこにあるか
  • 「独自の強み」をどう打ち出すか
  • LPと広告クリエイティブ、どちらで検証を回すか
  • CV計測の精度をどう上げ続けるか

自社の集客・広告運用が「以前ほど成果が出なくなった」と感じている方には、必ず役立つ視点になるはずです。後編もぜひ続けてお読みください。

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