NEWS ニュース

TOPICS

群馬の飲食店がSNSで変わった6年間【第2回】拡散・営業化の2年間|リール100万再生からOEM受注へ

前回(第1回)では、2020~2021年の「基盤づくりフェーズ」をお伝えしました。Instagramの見直し・Googleビジネスプロフィールの整備・商品の打ち出し方の整理など、発信の前に「土台を整える」ことに集中した2年間です。

第2回では、その基盤の上に成果が積み上がっていく2022~2023年をお伝えします。リール動画が100万回再生を記録し、手話接客の投稿が地元新聞の1面に掲載され、フォロワー5,000人を超えた時点でOEM受注が始まる——SNSが集客ツールから営業チャネルへと変わっていく2年間です。


Phase 2:コンテンツが人を動かした(2022年)

冷凍事業の新アカウント開設とターゲットの分離

2022年、あぶらやのSNS戦略は新たなフェーズに入ります。これまでの店舗用アカウントとは別に、冷凍事業(釜めし・雷電いなり・和風ピザ)専用のInstagramアカウントを新設しました。

なぜアカウントを分けるのか。店舗への来店を促したい層と、冷凍商品をオンラインで購入したい層は、関心の入口もライフスタイルも異なります。一つのアカウントで両方を追いかけると、どちらにも刺さらない発信になりがちです。ターゲットごとにアカウントを分け、それぞれの世界観に合わせた投稿を設計することで、両方のアカウントが独立した集客力を持てるようになります。

群馬の中小企業・飲食店でも「事業が複数ある・商品ラインが異なる」場合には、アカウントの分離を検討する価値があります。一つのアカウントに詰め込みすぎず、「誰に届けるか」を絞ることが、SNS運用の精度を上げる重要な判断です。

Instagram分析ツール「HUNT」の導入


2022年7月、株式会社シースリー・ブレーンが提供するInstagram分析ツール「HUNT」を導入しました。HUNTはインサイトデータの可視化・競合分析・ハッシュタグのレコメンド・Googleビジネスプロフィールとの連携など、Instagram運用に必要な機能を一元管理できるツールです。

HUNT導入前の運用は、どうしても「感覚」に頼る部分が残ります。「この投稿は反応が良かった気がする」「このハッシュタグをつけてみよう」という経験則ベースの運用から、データに基づく意思決定に切り替えることで、改善のサイクルが明確になります。

SNS運用において「なんとなく続ける」と「データを見ながら改善する」では、1年後・2年後の結果に大きな差が生まれます。あぶらやがHUNT導入から約1年半でフォロワー1万人を達成した背景には、このデータドリブンな運用改善の積み重ねがあります。

リール動画が100万回再生を記録

2022年のハイライトの一つが、リール動画の100万回再生です。企画したのは「海なし県・群馬でのマグロ祭り」をテーマにしたコンテンツでした。

内陸県である群馬でマグロを豪快に扱う——この「意外性」がSNSでの拡散を生みました。「群馬でなぜマグロ?」という疑問がクリックを誘い、実際の映像のクオリティと食のエンターテインメント性が視聴完了率を上げる。アルゴリズム上で評価されるための要素が自然に揃ったコンテンツでした。

重要なのは、この企画が「バズらせたい」という目的から生まれたわけではない点です。あぶらやの強み(市場から直接仕入れた新鮮な食材・シェフの技術)と地域の文脈(海なし県・群馬)を掛け合わせた結果として、拡散力のあるコンテンツが生まれました。自分たちの「本物の強み」をコンテンツ化することが、SNSでの拡散の本質です。

マグロ祭りはその後、リピート施策の定番コンテンツとして定着し、新規顧客の獲得と既存顧客のリピートを同時に促す企画として機能し続けています。

手話接客が地元新聞の1面になった

2022年のもう一つの大きなトピックが、手話接客コンテンツです。あぶらやには元々、定期的に来店してくださるろう者のお客様がいらっしゃいました。これまでは筆談での接客を続けていましたが、コロナ禍でスタッフ全員がマスクを着用するようになり、口の動きを読み取る「口話」でのコミュニケーションが難しくなっていました。

そんな中、一人の女性スタッフから「もっと丁寧な接客がしたい。手話で接客できないか」という申し出がありました。この想いから始まった手話接客の取り組みを、あぶらやはInstagramで発信しました。

この投稿は大きな反響を呼び、地元新聞に1面掲載されます。その後、全国からろう者のお客様があぶらやを目指して来店するようになり、手話接客はあぶらやの店舗文化として定着していきます。

この事例が示すのは「共感コンテンツの力」です。マグロ祭りが「驚き・エンターテインメント」で拡散したとすれば、手話接客は「温かさ・共感」で広がりました。どちらも広告費はゼロです。あぶらやの日常の中にある「本物のストーリー」を丁寧に切り取ったことで、お金をかけずに人を動かすコンテンツが生まれました。

SNS運用において「何か特別なことをしなければ」と身構える必要はありません。日常業務の中にあるストーリーを発掘し、届け方を工夫することが、群馬の中小飲食店・中小企業がInstagramで成果を出す最も現実的なアプローチです。


Phase 3:フォロワー5,000人、SNSが「営業」になった(2023年)

Instagram経由でOEM受注・旅館への商品導入

2023年5月、フォロワー数が5,000人を超えます。そしてこのタイミングで、SNSの役割が大きく変わります。Instagramを通じた問い合わせが増加し、伊香保温泉の旅館へ「和風ピザ」の導入が決定。さらにOEM受注も獲得し、冷凍釜めし・肉系商品など複数の商品開発相談が続きます。

SNSが「集客ツール」から「営業チャネル」へと機能し始めたフェーズです。この転換が起きた理由は明確です。Phase 0~1で整えた商品の販売体制(規格書・商品企画書・外販ルート)があったからこそ、Instagramからの問い合わせを受注に転換できました。発信だけが先行していても、受け皿がなければ問い合わせは来店・購入につながりません。SNS運用と事業基盤の整備を並行して進めてきたことが、ここで結実します。

群馬・北関東の飲食店でよく見られる課題は「SNSをやっているがBtoBの引き合いにつながらない」というものです。あぶらやの事例が示すのは、BtoBへの展開はSNS単体ではなく「SNS×商品設計×外販基盤」の三つが揃って初めて動き出すということです。

フォロワー数より「フォロワーの質」が重要

フォロワー5,000人でOEM受注が動き出したこの時期のあぶらやのアカウントには、重要な特徴がありました。フォロワーの中に「飲食業・宿泊業・食品流通」関係者が含まれていたことです。

これはターゲットを意識した発信の結果です。店舗への集客を目的とした投稿と、冷凍商品・外販を意識した投稿を使い分けることで、一般消費者だけでなく業界関係者にも届くアカウントが形成されていました。

フォロワー数の多さより、フォロワーの質——つまり「自社のビジネスに関係する人がどれだけいるか」——がSNSの営業チャネルとしての価値を決めます。数字を追うより、届けたい相手に届く発信を積み重ねることが、群馬のSNS運用代行を選ぶ際にも確認すべき重要な視点です。


第2回まとめ:SNSが集客から「事業インフラ」へ

2022~2023年の2年間で、あぶらやのSNSは「情報発信ツール」から「事業を動かすインフラ」へと変わりました。

  • アカウントの分離でターゲット別に設計する
  • HUNTによるデータ分析で改善サイクルを回す
  • 地域性と強みを掛け合わせた企画でリール100万再生
  • 共感コンテンツ(手話接客)で新聞1面・全国からの来店
  • フォロワー5,000人でOEM受注・旅館への商品導入開始

これらはすべて、第1回でお伝えした「基盤づくり」の上に積み上がった成果です。土台がなければ、どれだけ良いコンテンツを投稿しても成果には結びつきません。逆に言えば、土台が整っていれば「本物のストーリー」を丁寧に発信するだけで、SNSは自然に事業の推進力になっていきます。

次回(第3回)は、2024~2026年の「ブランド化・新規事業フェーズ」をお伝えします。フォロワー1万人到達・大手航空会社とのコラボ・Instagram公式収益化プログラムへの招待・ケータリング事業の本格立ち上げ——SNSが新規事業を生み出す構造が完成していく段階です。

CONTACT お問い合わせ

お問い合わせは、お電話または
お問い合わせフォームにてお気軽にお寄せください。

Tel.027-266-6612

9:00〜18:00(土曜・日曜・祝日を除く)