群馬の飲食店がSNSで変わった6年間【第3回】ブランド化・新規事業の3年間|SNS運用代行で飲食店が変わる

前回(第2回)では、2022~2023年の「拡散・営業化フェーズ」をお伝えしました。リール100万回再生・手話接客の新聞1面掲載・フォロワー5,000人でのOEM受注開始と、あぶらやのSNSが「情報発信ツール」から「営業チャネル」へと変わっていった2年間です。
第3回では2024~2026年をお伝えします。フォロワー1万人到達・大手航空会社とのコラボ企画・Instagram公式収益化プログラムへの招待・ケータリング事業の本格立ち上げ——SNSが新規事業を生み出す「事業インフラ」として完成していくフェーズです。
Phase 4:フォロワー1万人、「店」から「ブランド」へ(2024年)
■ 大手航空会社とのオリジナル釜めし企画が実現
2024年6月、和膳処あぶらやのInstagramフォロワーが1万人を突破しました。HUNTを導入した2022年7月から約1年半での到達です。継続的なデータ改善と、地域性・強みを活かしたコンテンツの積み重ねが数字に表れた結果です。
あぶらやには以前から、JAL/JALUXとの取引関係がありました。弊社はこのポジションを活かし、JALUXのバイヤーへ新しい売上を獲得するための事業アイデアとしてコラボ企画を提案。JALオリジナルの釜めしを共同で開発する企画が実現しました。群馬県邑楽郡板倉町のローカルな和食店が、全国規模のブランドと商品企画で協業する——既存の取引関係を起点に、運用パートナーが事業アイデアを設計・提案することで、新しい収益チャネルを生み出した事例です。SNS運用を通じて積み上げた発信力とブランド価値が、こうした協業企画を後押しする土台になっています。

SNSで発信を積み重ねることで、フォロワー数だけでなくアカウントの信頼性やブランド価値が育っていきます。その結果、既存の取引先との新しい協業企画にもつなげやすくなり、運用パートナーが事業アイデアを設計・提案する際の説得力にもなります。群馬の中小企業がSNSを「集客ツール」としてだけ捉えていると、こうした事業機会を取りこぼしてしまうのです。
■ ぐんまフィルムコミッションへの登録とロケ弁の開始
2024年、株式会社シースリー・ブレーンはあぶらやにぐんまフィルムコミッションへの登録を提案しました。群馬県内でのドラマ・映画・CM撮影を支援するための登録制度で、撮影支援ボランティアとして参加することで、映像制作会社やテレビ局との直接的な接点が生まれます。

この提案の背景にもInstagramがありました。食の世界観を丁寧に発信し続けてきたアカウントは、映像制作の現場から見ても「信頼できる食事の提供先」として映ります。SNSでの発信が、リアルな仕事の受注につながるという流れがここでも生まれ、ロケ弁当の提供が始まりました。
SNS運用が新しいビジネスチャンネルを開くきっかけになる。あぶらやのこのフェーズは、群馬の飲食店・中小企業にとってSNSの可能性を改めて示す事例です。
■ Instagram公式収益化プログラムへの招待・達成
2024年6月、あぶらやのInstagramアカウントはInstagram公式の収益化プログラム(リールボーナス)に招待されます。これは限られたアカウントにのみ案内される制度で、リール投稿によって報酬が得られる仕組みです。
招待の条件はフォロワー数だけではありません。コンテンツの質・継続的な発信・エンゲージメントの高さがInstagram側に評価された結果として、招待が届きます。あぶらやのアカウントは招待から1ヶ月以内に収益化の条件をクリアし、達成しました。
これは単なる副収入ではなく「Instagramから選ばれたアカウント」であることの証左です。2020年の見直しから4年間、一貫した方針で発信を続けてきた積み重ねが、プラットフォームから正式に評価された瞬間といえます。群馬の飲食店・中小企業のSNS担当者にとって、継続的に質の高い発信を続けることは、フォロワーの獲得だけでなく、プラットフォームからの評価・収益化・企業案件という形でも報われる可能性があります。
Phase 5~6:SNSが新規事業の基盤になった(2025~2026年)
■ ケータリング事業へ本格参入
2025年、ロケ弁当の受注拡大を経て、あぶらやはケータリング事業に本格参入します。映画・ドラマ・PV制作会社からの問い合わせが増加し、飲食店としての店舗売上とは別の収益の柱が育ちはじめました。

Instagramでのケータリング・ロケ弁のPRも並行して強化。投稿の内容も「料理の紹介」から、「ケータリングに対応できる店」「映像制作の現場を支える食のプロ」というブランドイメージを強化するものへとシフトしていきます。SNSの発信内容が事業の方向性とともに進化していくのが、このフェーズの特徴です。
海外への展開も生まれました。台湾のツアー会社との取引が始まり、あぶらやの商品・ブランドが国境を超えて認知されるようになります。Instagramのフォロワーが国内に限らず海外にも広がっていたことが、この展開を後押ししました。
■ 売上構造の最適化と持続成長へ(2026年)
2026年現在、あぶらやは売上構造の最適化フェーズに入っています。店舗売上・外販(OEM・百貨店・ECサイト)・ケータリングという3つの収益源のバランスを整えながら、持続的な成長の仕組みをつくっています。
株式会社シースリー・ブレーンはこの段階でも支援を継続中です。Instagram活用の継続的な改善とともに、事業全体の設計・販売構造の見直しにまで関わっています。「SNS運用代行」という言葉が示す範囲を超え、事業パートナーとしての関わりに発展しているのが現在の支援形態です。